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法人税の還付金はいつ戻る?中間納付・欠損金の繰戻し還付・仕訳まで解説

法人税を中間納付した後に業績が落ち込んだり、決算で赤字になったりすると、法人税の還付金が発生することがあります。

経営者や経理担当者にとって特に気になるのは、「確定申告をした後、還付金はいつ口座に振り込まれるのか」ではないでしょうか。

国税庁は、e-Taxで送信した法人税などの還付申告について、通常3週間程度で還付すると案内しています。 一方、「欠損金の繰戻しによる還付」は通常の中間納付の精算とは異なり、確定申告書とあわせて還付請求書を提出する手続きです。そのため、すべての法人税還付が「3週間で入金される」と考えるのは適切ではありません。

この記事では、法人税の還付金が戻る時期をはじめ、中間納付による還付、欠損金の繰戻し還付、必要な別表、還付加算金、仕訳、益金不算入まで税理士の視点で整理します。

目次

法人税の還付金はいつ戻る?

結論からいうと、中間納付額が年間の確定法人税額を上回ったことによる通常の還付申告であれば、e-Taxでは「通常3週間程度」が一つの目安です。ただし、これは入金日を保証する期間ではありません。

法人税の還付には、原因によって手続きの性質が異なります。

還付が生じる主なケース 主な手続き 時期の考え方
中間納付額が確定法人税額を上回った 確定申告で精算 e-Taxによる還付申告は通常3週間程度が目安
当期赤字を前期へ繰り戻す 確定申告+欠損金の繰戻しによる還付請求書 一律の振込日数は公表されていない
過大に申告していた 更正の請求など 手続き・審査内容により異なる

特に区別しておきたいのが、「還付申告」と「還付申請」です。

国税庁のe-Taxでは、還付金の処理状況を確認できる時期について、e-Taxによる還付申告は申告から約2週間後、書面による還付申告は約1か月後、還付申請については提出から約2か月後と案内しています。これは「その日までに振り込まれる」という意味ではなく、e-Tax上で処理状況を確認できるようになる時期です。

そのため、欠損金の繰戻し還付を利用するときは、「3週間後に必ず入金される」という前提で資金繰りを組まない方が安全です。

e-Taxなら還付金の処理状況を確認できる

還付がなかなか入金されない場合、e-Taxの利用者識別番号を持っていれば、e-Taxソフト(WEB版)のマイページにある「還付・納税関係」から処理状況を確認できます。

確認画面では、申告書の確認中、振込先の確認中、支払手続完了などの状況が表示されます。

「いつ振り込まれるのだろう」と待ち続けるだけでなく、確認可能な時期を過ぎたらe-Tax上の状況を確認するとよいでしょう。

法人税の還付金が発生する主なケース

法人税の還付が発生する代表的なケースは、次の2つです。

1つ目は、中間納付した法人税が年間の確定税額を上回った場合です。

2つ目は、当期に発生した欠損金を前期に繰り戻し、前期に納付した法人税の還付を請求する場合です。

仕組みが異なるため、同じ「法人税の還付金」として一括りにしないことがポイントです。

中間納付額が確定税額を上回った場合

法人税では、一定の法人について事業年度の途中に中間申告・納付を行います。

前事業年度の法人税額を基準に申告する方法は、国税庁でも「中間(予定)税額」「予定申告」と表現されています。インターネット上では「法人税の予定納税」という言葉も使われますが、所得税で使う「予定納税」と区別するため、法人税では「中間申告」「予定申告」「中間納付」と理解しておくと分かりやすいでしょう。

たとえば、中間納付で100万円を納め、その後の決算で年間の法人税額が30万円と確定したとします。

この場合は、

100万円-30万円=70万円

となり、70万円が還付対象となります。

これは新たな優遇制度を利用しているわけではなく、すでに前払いした法人税と最終的な税額との差額を確定申告で精算していると考えると分かりやすいでしょう。

当期が赤字となり年間の法人税額が0円になれば、法人税については中間納付額の全額が還付対象となるケースもあります。

赤字でも「中間納付の還付」と「繰戻し還付」は別

ここは混同されやすいところです。

当期が赤字になった会社が中間納付済みだった場合、その中間納付額が戻ることと、前期に納付した法人税を欠損金の繰戻しによって戻してもらうことは別の話です。

たとえば、

  • 当期に中間納付した法人税 → 当期の確定申告で精算
  • 前期に納付した法人税 → 欠損金の繰戻し還付の要件を満たしたうえで別途請求

という違いがあります。

「赤字になれば過去に払った法人税が自動的に全部戻る」という制度ではありません。

欠損金の繰戻し還付とは?

欠損金の繰戻し還付とは、一定の要件を満たす法人が当期に欠損金を生じた場合、その欠損金を原則として前の事業年度へ繰り戻し、前期に納付した法人税の還付を請求できる制度です。

国税庁は、青色申告法人について、欠損事業年度開始日前1年以内に開始した事業年度へ欠損金を繰り戻せるとしています。

欠損金の繰戻し還付を受ける主な要件

通常の青色欠損金の繰戻し還付では、主に次の点を確認します。

  • 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで、継続して青色申告書である確定申告書を提出していること
  • 欠損事業年度の青色申告書である確定申告書を原則として期限内に提出すること
  • 欠損事業年度の確定申告書とあわせて「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出すること

国税庁の手続案内でも、通常の欠損金の繰戻し還付について、還付請求書の提出時期を「欠損事業年度の確定申告書の提出時」としています。

つまり、決算後に「そういえば前期の法人税も戻せたのでは」と気付くのではなく、当期の確定申告を作る段階で繰戻し還付を利用するか判断することが大切です。

中小企業なら必ず対象になるとは限らない

欠損金の繰戻し還付は、中小企業者等を中心に利用される制度です。ただし、「資本金が1億円以下なら無条件で利用できる」と考えるのは適切ではありません。

大法人による完全支配関係がある法人など、資本金だけでは判定できないケースがあります。対象法人に該当するかは、株主構成やグループ関係も含めて確認する必要があります。

また、令和8年度(2026年度)税制改正では、「中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用」の適用期限が2年間延長されています。 古い国税庁ページや過去の記事には改正前の期限が残っている場合があるため、2026年現在は最新の税制改正もあわせて確認する必要があります。

欠損金の繰戻し還付はいくら戻る?

基本的な考え方は、次の式で整理できます。

還付請求できる法人税額 = 還付所得事業年度の法人税額 × 繰り戻す欠損金額 ÷ 還付所得事業年度の所得金額

繰り戻す欠損金額には限度があるため、実際の計算では前期の所得金額や既に繰り戻した欠損金などを確認します。国税庁の還付請求書でも、還付所得事業年度の所得金額や法人税額を基礎として還付請求税額を計算します。

たとえば、説明用に次のように仮定します。

前期の課税所得:800万円
前期の法人税額:120万円
当期の欠損金:400万円

単純化して計算すると、

120万円 × 400万円 ÷ 800万円 = 60万円

となり、法人税60万円が還付請求額の目安となります。

これは制度の計算構造を示すための仮定例です。実際の法人税申告では所得金額、税額控除、既に行った繰戻しなどを確認したうえで計算する必要があります。

地方法人税もあわせて還付される場合がある

欠損金の繰戻しによって法人税が還付される場合、還付時点で確定している地方法人税があれば、原則として法人税の還付額の10.3%に相当する地方法人税もあわせて還付されます。

この地方法人税については、国税庁が「特段の手続は不要」と案内しています。

なお、法人住民税や法人事業税は法人税・地方法人税とは制度が異なるため、「法人にかかる税金はすべて同じ方法で現金還付される」と考えないよう注意してください。

繰戻し還付と欠損金の繰越控除はどちらを選ぶ?

赤字が出たからといって、必ず繰戻し還付を選ぶのが有利とは限りません。

欠損金には、将来の黒字と相殺する「繰越控除」という選択肢もあります。青色申告法人等の一定の欠損金は、一定の要件のもと将来の事業年度に繰り越せます。

考え方を整理すると次のようになります。

欠損金の繰戻し還付 欠損金の繰越控除
効果 過去に納めた法人税が戻る 将来の課税所得を減らす
キャッシュへの効果 還付後に現金が増える 将来の納税額が減る
向いている場面 足元の資金繰りを重視したい 今後の利益との相殺を検討したい
判断で見るもの 前期所得・前期法人税額 将来の利益見込み
注意点 適用要件・還付請求が必要 将来の利益がなければ控除効果を使い切れない可能性

「還付を受けられるなら受けた方が得」と即断するのではなく、手元資金、前期の税負担、今後の利益予測などを確認して選択することが大切です。

特に業績が一時的に落ち込んだだけで翌期以降の回復が見込まれる会社と、当面厳しい資金繰りが続く会社では、重視すべきポイントが異なります。

法人税の還付ではどの別表・書類を確認する?

法人税の還付では、「どの別表を見ればいいのか」と迷う経理担当者も少なくありません。

2026年4月1日以後終了事業年度等について、国税庁は最新の法人税申告書・各種別表を公開しています。主に確認する書類は次のとおりです。

書類 主な役割
別表一 法人税の所得・税額や申告全体を確認する基本となる申告書
別表五(二) 法人税など租税公課の納付状況を整理する明細書
別表七(一) 欠損金の損金算入・繰越し・繰戻しなどを管理する明細書
欠損金の繰戻しによる還付請求書 欠損金を前事業年度へ繰り戻して法人税還付を請求する書類

令和8年4月1日以後終了事業年度分の別表七(一)には、「欠損金の繰戻し額」を記載する欄も設けられています。

ただし、会社の状況によって関係する別表は増減します。申告書の様式も税制改正によって変わるため、過年度の記事に掲載された別表番号や記載欄をそのまま使うのではなく、対象事業年度の様式を確認してください。

法人税の還付金の仕訳

法人税の中間納付による還付では、中間納付時に「仮払法人税等」として処理し、決算で年間の法人税額が確定した時点で精算する方法が一般的です。

ここでは、中間納付100万円、決算で確定した法人税額30万円、還付額70万円という仮定例で見てみましょう。

中間納付したとき

借方 金額 貸方 金額
仮払法人税等 1,000,000円 普通預金 1,000,000円

決算で法人税額と還付額が確定したとき

借方 金額 貸方 金額
法人税等 300,000円 仮払法人税等 1,000,000円
未収法人税等 700,000円

超過した70万円を「未収法人税等」などの資産科目で計上します。

還付金が入金されたとき

借方 金額 貸方 金額
普通預金 700,000円 未収法人税等 700,000円

実際に還付金が口座へ入金されたら、決算時に計上した未収法人税等を取り崩します。この基本的な処理は、会計ソフト等の解説でも同様に示されています。

勘定科目名は会社の会計方針や利用している会計ソフトによって「未収法人税等」「未収還付法人税等」など異なる場合があります。名称そのものより、決算時に還付債権を正しく認識し、入金時に消し込むことがポイントです。

法人税の還付金は益金不算入?還付加算金との違い

法人税の還付を受けたときは、還付金本体と還付加算金を分けて考える必要があります。

法人税法には「還付金等の益金不算入」の規定があり、法人税の還付金本体は原則として課税所得を増やさない扱いとなります。一方、還付加算金は利益として扱われ、一般に雑収入などで処理して益金に算入します。

入金内容 会計処理の一例 法人税上の考え方
法人税の還付金本体 未収法人税等の取崩し等 原則として益金不算入
還付加算金 雑収入 益金算入

たとえば、法人税還付金70万円と還付加算金5,000円が同時に入金された場合は、次のように分けて処理する考え方があります。

借方 金額 貸方 金額
普通預金 705,000円 未収法人税等 700,000円
雑収入(還付加算金) 5,000円

還付金本体と還付加算金をまとめて同じ税務処理にしないことがポイントです。

なお、法人事業税など、納付時に損金となる税金の還付については法人税とは取扱いが異なります。国税庁も、中間納付した事業税が確定申告により還付されるケースについて、還付金を益金として処理する方法を示しています。

2026年の還付加算金の割合は?

国税庁によると、2026年1月1日から12月31日までの還付加算金特例基準割合は年1.3%です。2025年は0.9%だったため、2026年は割合が変わっています。

ただし、「還付金額に一律1.3%を掛ければ還付加算金になる」という単純な計算ではありません。

還付加算金は、対象となる還付金や計算期間などに応じて計算されます。資金計画を立てる際に、還付加算金をあらかじめ大きな収入として見込むのは避けた方がよいでしょう。

法人税の還付でよくある勘違い

法人税の還付を検討するときは、次のような勘違いに注意してください。

「赤字なら前期の法人税が自動的に戻る」
自動ではありません。中間納付の超過分は当期の確定申告で精算しますが、前期法人税の欠損金繰戻し還付には、要件を満たしたうえで還付請求書を提出する必要があります。

「e-Taxならどんな還付も3週間で戻る」
国税庁が通常3週間程度と案内しているのはe-Taxによる還付申告です。欠損金の繰戻しのような還付申請について、一律3週間という入金期限は示されていません。

「資本金1億円以下なら繰戻し還付を必ず使える」
株主構成などによって中小企業者等の判定から外れる場合があります。また、2026年度税制改正による適用関係も確認が必要です。

「還付金は全部雑収入にして法人税を払えばよい」
法人税還付金本体と還付加算金では税務上の扱いが異なります。法人税還付金については益金不算入、還付加算金については益金算入という区分を確認しましょう。

「還付を受けられるなら繰戻し還付が必ず有利」
将来の利益と相殺する欠損金の繰越控除という選択肢もあります。資金繰りと今後の利益見込みをあわせて判断する必要があります。

法人税の還付は決算時だけでなく期中から考える

法人税の還付が発生する会社では、単に「払い過ぎた税金が戻ってきた」で終わらせず、なぜ中間納付額と最終税額に大きな差が生じたのかを確認することも大切です。

たとえば、前期が好調だったため多額の中間納付が発生したものの、今期に入って利益が大幅に落ち込んでいるのであれば、決算まで待たずに業績と納税見込みを把握することで資金繰りの計画を立てやすくなります。

法人税には仮決算による中間申告という仕組みもあり、期中の状況を踏まえて申告方法を検討できる場合があります。国税庁も法人税法上の「仮決算をした場合の中間申告」を前提とした取扱いを示しています。

浅野税務会計事務所では、法人向けの税務顧問として月次監査、税務相談、決算申告などに対応しています。毎月の数字を確認することで、資金繰り、利益状況、納税見込みを早めに把握しやすくすることを重視しています。

「中間納付したが今期は赤字になりそう」「繰戻し還付と繰越控除のどちらを選べばよいか分からない」「還付になるはずだが申告書や仕訳に不安がある」といった場合は、決算・申告前の段階から税理士へ確認することをおすすめします。

よくある質問

Q. 法人税の還付金は何日くらいで振り込まれますか?

A. e-Taxで提出した法人税などの還付申告については、国税庁が通常3週間程度と案内しています。 ただし、必ず3週間以内に入金されるという保証ではありません。

欠損金の繰戻し還付は確定申告とあわせて還付請求を行う制度であり、同じ日数をそのまま当てはめることはできません。e-Taxでは「還付申請」の処理状況について、提出後おおむね2か月程度経過した日から確認可能と案内しています。

Q. 会社が赤字なら法人税は必ず還付されますか?

A. いいえ。赤字だからという理由だけで必ず現金が還付されるわけではありません。

当期に中間納付をしていれば、その中間納付額と確定法人税額との差額が還付される可能性があります。また、前期が黒字で一定の要件を満たす場合は、欠損金の繰戻し還付を請求できる可能性があります。

Q. 中間納付の還付にも「欠損金の繰戻しによる還付請求書」が必要ですか?

A. 通常の中間納付額と年間の確定法人税額との差額を精算する還付と、欠損金を前事業年度へ繰り戻す還付請求は別の仕組みです。

「欠損金の繰戻しによる還付請求書」は、欠損金を前事業年度へ繰り戻して法人税の還付を請求するときに提出する書類です。

Q. 欠損金の繰戻し還付ではどの別表を使いますか?

A. 申告内容によって異なりますが、主に法人税申告書の別表一、租税公課の納付状況を記載する別表五(二)、欠損金を管理する別表七(一)などが関係します。

さらに、欠損金の繰戻し還付を請求する場合には「欠損金の繰戻しによる還付請求書」が必要です。最新の様式は対象事業年度に対応した国税庁のものを確認してください。

Q. 法人税の還付金には法人税がかかりますか?

A. 法人税の還付金本体は原則として益金不算入です。一方、還付金に加えて支払われる還付加算金は、一般に雑収入として処理し、益金に算入します。

同じ振込の中に両方が含まれている場合でも、金額を分けて確認することが大切です。

まとめ|法人税の還付金がいつ戻るかは還付理由によって異なる

法人税の還付金がいつ戻るかは、どの理由で還付を受けるかによって考え方が異なります。

中間納付額が確定税額を上回ったことによるe-Taxの還付申告については、国税庁が通常3週間程度と案内しています。一方、欠損金の繰戻し還付は確定申告書とあわせて還付請求書を提出する別の手続きであり、一律に3週間で入金されるとはいえません。

また、当期が赤字だからといって、前期に支払った法人税が自動的に戻るわけではありません。青色申告などの要件を確認し、繰戻し還付を利用する場合は確定申告時に必要な手続きを行うことが大切です。

さらに、繰戻し還付を選ぶか、欠損金を将来へ繰り越すかは、目先の還付額だけではなく、今後の利益見込みや資金繰りまで含めて判断する必要があります。

浅野税務会計事務所では、目黒区・自由が丘を拠点に、法人の月次監査、税務相談、決算申告などに対応しています。法人税の還付や欠損金の扱いだけでなく、毎月の数字から利益・納税見込み・資金繰りを確認したい方は、法人向け税務顧問のページもあわせてご覧ください。

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